さてマーチ761の話が一段落したので、メルツァリオの続きを書こう。1976年にマーチ→ウィリアムズと渡り歩き、相変わらず不遇だったメルツァリオは、翌年たまに自分のマーチを走らせたり、シャドウのピンチヒッターを務めたりした他は、アルファ・ロメオでのスポーツカー・レースに集中し、F1からやや遠のいたが、1978年には自名を冠したマシーンを発表して、コンストラクター・ドライバーとしてグランプリに復活する。そのマシーンがメルツァリオA1である。
当時のF1マシーン中、最短のホイールベースという小ぶりなメルツァリオA1は、全体に丸みの強い愛らしいフォルムをしていた。しかし戦績は惨憺たるもの…。当然モデルとしての製品化もなかった、と思い込んでいたので、1999年にメルツァリオが来日した折のモデル・カーズの特集記事においても、タメオ製マーチ761をベースにスクラッチするという暴挙に及んだのだが…、なんと1/43のホワイトメタル・キットが存在したことを後で知った。イギリスの「ミカンスー(マイカンスー)」というメーカーのもので、発売されたのは1980年代初頭。写真がそのキットだ。
「ミカンスー=MikanSue」とはMike and Sue Richardsonを略したネーミングで、この夫婦、とりわけ夫は、古いディンキー製ダイキャスト・ミニチュアカーのオーソリティとして、「The Great Book of Dinky」を始めとする著書も多い、有名なコレクターだ。キットの構成の方は、かのジョン・ディに似て素朴なものだが、インストラクションの絵柄等、味がある。デカールもデキはともかく、よくリサーチが効いているところが憎めない。敢えてこのまま組むか、タイヤ/ホイールだけタメオ+フジヤに交換するか、悩むところである。


