マトラ・スポーツ・ジェット6●ミニオール1/43
▲ミニオール製1/43マトラジェット (1970年代初頭) | ▲プロポーションが良い。 テールは開閉できる。 | ▲ホイール等、ディテール再現も優秀。 |
先にご紹介したタカラのクアトロックスを始めとして、スロットカーが旬です。これから更に幅広い人気を獲得していくのは間違いのないところだと思いますが、とりわけ人気の中心である1/32スケールのスロットカーのメーカーの殆どが、スペインのメーカーであることはご存知でしょうか?
例えばスケール・モデル的な仕上がりが群を抜いている「フライ(FLY)」やクアトロックスのパートナーである老舗「スケーレクストリック(Scalextric)」の兄弟ブランド「SCX」、「ニンコ(NINCO)」、「スロット・イット(Slot.it)」、「スピリット(Spirit)」などを始め、大小様々な規模のメーカーが数多く存在しています。
無論、ドイツの「カレラ(Carrera)」、アメリカ/ドイツの「レベル・モノグラム(Revell/Monogram)」、そもそも英国の「スケーレクストリック(Scalextric)」等、他の国の大メーカーもあるのですが、スペインにスロットカー・メーカーが集中しているのは事実です。これはどうしたことでしょう?
ここからは推測まじりの話となりますが、ことスロットカーに関してのスペインにおける起源とは、かつてヨーロッパ各国でパテント生産されていたスケーレクストリックの工場が「スペインにも存在していた」ことにあると考えられます。しかもスペイン工場は早くから独自の出来の良いモデルをリリースする等、積極的な展開を見せていました。スケーレクストリックのコレクター市場は早くから確立されていましたが、この市場でもスペイン製モデルの評価は軒並み高かったと言えます。
このバックグラウンドには、スペインにおけるプラスチック産業が早くから盛況だったことがあるようです。実は似た状況がフランスにもあります。その片鱗はミニチュアカー産業にも見られ、1960年代~'70年代におけるフランス製ミニカーにはプラスチック製品が多かったのです。ダイキャストで有名なソリドは寧ろ稀有な存在で、現在でも人気の「ノレブ」や、「ミニオール」「サフィール」等のフランス・メーカーは、かつてプラスチックを使ったディテールに優れたモデルを数多くリリースしていました。今やミニオールもサフィールも亡く、ノレブだけが金属製に方向転換して健在ですが、かつてのプラスチック製ミニカーは、独特の風合いと美しい成型色、そしてディテールの良さで、ディープなコレクター市場では今も根強い人気を持っています。
スペインの話に戻ります。大手のメーカーは生産拠点を中国に移しているようですが、いにしえのプラスチック産業の隆盛が今日のスロットカー王国スペインの礎となったことは間違いないでしょう。今や忘れられつつあるヨーロッパのプラスチック製モデルカーたち。しかし、その歴史の片鱗がスロットカーの世界で垣間見れるのは嬉しいことです。


