
1930年代から70年代にかけて、ヨーロッパでは都市間を結ぶ公道レースが盛んに行なわれ、サーキットを舞台としたグランプリ・レースと並ぶ人気を博していました。その代表的なものとして、イタリア国内で開催されていたミッレミリアやタルガ・フローリオ、またフランス国内を転戦したツール・ド・フランスなどが挙げられます。ヨーロッパ中の大メーカーや有力なレーシング・ティームがこぞって参加したそれらのレースからは、タツィオ・ヌボラーリ、スターリング・モス、ニーノ・ヴァッカレラ、ビック・エルフォードといったヒーローが誕生し、モータースポーツ史に残る、輝かしい一時代を築いたのです。それら伝説と化した公道レースは、往年のヒストリックカーによるラリー・イベントとして新たに姿を変えて蘇ります。
まず、その先陣を切ったのはミッレミリアでした。イタリア国内の当時設定されたルートを、参加した往年のクルマたちが再び走るというこのイベントは瞬く間に注目を集め、世界中からエントラントが集結する一大イベントへと成長しました。この人気に呼応するかのように、ツール・ド・フランス、タルガ・フローリオ、ジーロ・ディ・シチリアなどなどが復活し、ヨーロッパの愛好家の間では、このようなヒストリックカー・イベントに参加することが、ひとつのステイタスになっています。ここで新たにヨーロッパで行なわれているイベントと同等のヒストリックカー・イベントを企画し、このようなクルマを使った趣味の世界が、欧米同様“文化”として広く社会に認知されるようにしたいという考えに至った次第です。
私どもが開催致します“Japan Historic Car Tour”は、日本最大級のヒストリックカー・ツアーとして2004年に初めて開催し、ご参加くださる皆様はもちろんのこと、沿道のギャラリーの方にも楽しんでいただけるイベントを目指してまいりました。6回目を数える今回は、現在ルート策定中ではありますが、昨年同様小田原市の「ダイナシティ」をスタート地点に山梨、長野、静岡といったエリアながら大幅にアレンジしたルートを計画しております。きっと、新鮮な印象で楽しんでいただけるものと思っております。
最終ゴール地は今年も横浜の赤レンガ倉庫に設定しました。ご存じのように横浜は今年開港150周年を迎え、赤レンガ倉庫のある“みなとみらい地区”でも様々なイベントが模様される予定となっており、例年にも増して大勢のギャラリーが3日間にわたるツアーのゴールを出迎えてくれるでしょう。また私たちも、開港150周年のお祝いに華を添えることができればと考えております。
さて、すでにご案内のように、今年より“Japan Historic Car Tour”は年3回のシリーズへとステップアップいたします。6月に北海道で開催予定の“トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ”、9月に関西で開催予定の“ポンテ・ペルレ”という、いずれも歴史あるイベントが“Japan Historic Car Tour”に加わることによって、ポイント制によるランキングを導入し、11月にはシリーズの表彰式も予定しております。
このように、シリーズとなったことでより競技としての面白さが増したことは間違いないでしょう。しかし“Japan Historic Car Tour”は競技だけを目的としたイベントではありません。横浜、函館、神戸という日本を代表する3つの港町を舞台に開催することで、エントラントの皆様には、四季折々の日本の伝統、文化、自然を愛車とともに存分に楽しんでいただけると考えております。
言うまでもなく、昨今の世の中の状況は厳しく、自動車業界も大きな影響を受けています。しかしこのような時だからこそ私どもは、“Japan Historic Car Tour”を通じて自動車趣味の楽しさ、そして自動車文化の奥深さを伝えていきたいと考えております。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。