
モデル・カーズ編集長の長尾 循氏と、当ホビダス編集長の山田剛久。名コンビを組んで、クルマ模型専門誌『モデル・カーズ』を作ってきた盟友二人が、ミニチュアモデルを語るスペシャル企画も今回が最終回。お題は、“プラモデル”!

山田:
この対談も、最初の回が“ミニカー”、前回が“スロットカー”ときて、最終回の今回が“プラモデル”です。
長尾: 我々の世代(注:40代半ば)なら誰もが通ったホビーの王道、今30歳くらいの方なら、「ミニ四輪」を通じてのリンクがあるかも知れませんね。
山田: ええ。「三つ子の魂百まで」なんて言いますけど、やはり子供頃に作って楽しんだ体験、思い出から逃れられない、というわけで、今回僕はコレを持ってきました。最近は、なかなか作る時間が取れなくなってきてますが、やはり完成するとその良さが分かりますね。と言ってもこれ、自分で作ったものではないんですが……。
長尾: おお!「ディールス・ホイール」ですね。ディフォルメ系モデルの宗祖、“デイブ・ディール”がデザインしたという。このシリーズは衝撃的だった。僕も好きだったなぁ。特にスワインハントとメッサシュニッツェル。まぁ、後者は飛行機だけど。
山田: 僕や長尾さん世代には、ド真ん中ストライクの人と、全く興味の無い人がいるだろうね。ディフォルメのサジ加減が絶妙で、実車よりも実車らしい……というとおかしな話になってしまうんだけど、ホントにそんな感じ。中でも空冷バグ系は彼の十八番だから、この「バグ・ボム」なんか最高だよね。
長尾:
タイヤレターが「Good Year」ならぬ「Good Boots(グッド・ブーツ)」だったり、ボンネットのVWマークがピースマークになってる割には、ホイールがバルカン・クロイツ(鉄十字)状になったりしているところが、見方によってはブラックだし、このクルマの成り立ちを匂わせるディープなアレンジ。そこかしこに作者のジョークがちりばめられてる。
山田:この夏に公開される映画、『カーズ』のキャラクターたちも、実はデイブ・ディールがオリジナル・デザインしたというウワサもある。エンドロールに彼の名前が流れるかもしれないね。
長尾: なるほど。新作のピクサーを眺めながら、絶版キットでその原点にせまることができるワケですね。クルマのプラモも新旧・内外いろいろあるけど、このディールスを始めとするアメリカ製キットは、ホットロッディングなど、各時代の文化や流行を映してきた。歴史が楽しめる。大人になってみると、それが他には無い魅力的なポイントなんだよね。
山田:まさにその通りですね。だからついつい買い込んで、「作って」楽しむはずのものが、「コレクション」になってしまう。賛否あるだろうけど、趣味ならどちらもアリのはず。でも作ると更に世界が広がることは間違いない。作るのが下手だろうが、実は関係ないんだよな。
長尾: そう、全く関係ない。好きなモデルを自分の自由に料理するのが模型作りの楽しさ。別に工作技術の優劣競争ではありません。大体我々はミハエル・シューマッハの100万分の一の運転技術しか持ってなくたって、クルマでドライブ行くのは楽しいじゃないですか。
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長尾循(ながおじゅん)/写真左
プラモデルからミニカー、ホワイトメタルやティントイまでを紹介する、クルマ模型専門誌「モデル・カーズ」の名物編集長。穏やかな語り口とソフトな人当たり、そしてアナーキーなモデリングにはファン多し。愛車のケータハム・スーパーセブンとは20年間の付き合い。カー・マガジンでもお馴染み。
山田剛久(やまだたけひさ)/写真右
当Webの編集記事をとりまとめるホビダス編集長。若き日々に国内スカコア系の元祖的バンド「レピッシュ」に在籍したという怪しい経歴を持つ。長尾編集長とは、同い年で「モデル・カーズ」の脇を固めるディープな別冊編集を手懸けた名コンビ。「ホットウィール」と1960年代のスロットカーが大好物。
「ディールス・ホイール」とは
アメリカのクルマ漫画アーティスト「デイブ・ディール」がデザインを手懸けた1970年代のレベル社製プラモデル・シリーズ。造型から箱絵、漫画仕立ての組立説明書まで、デイブ・ディールがトータルに監修、日本でも販売されて人気を呼び、いわゆるディフォルメ調トイカー、モデルカーの元祖となった。デイブ自身はアーティストとしていまだ現役で、「カーズ」主要キャラクターのオリジナル・デザインを担当したとも言われている。
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