
Tipo編集長の嶋田智之氏と、Rosso編集長の櫻井健一氏が、“スーパーカー”を語るスペシャル企画の最終回は、“個人的に選ぶ究極の一台”がテーマです。

編集部: 個人的に欲しい一台は?
嶋田:
個人的な想い入れということなら、ディーノ246GTかな。確かに、スペックから言えばスーパーじゃないかもしれない。何度か乗らせてもらった経験からいっても、現代の基準でいえば、まあ、速くはないわけだよ。2.4リットルのV6とはいえ、現代の2リッター級のスポーツセダンにもかなわない。でもね、ここまで心を乱されるような存在は、後にも先にも存在しないんだなぁ。
櫻井: 速い遅いをいうなら確かに速くはないね。
嶋田: ディーノに関していえば、子供の頃に遭遇した体験がすべてだね。少年だった俺の目の前にいきなり現れて、走り去っていったその姿。張りのある前後のグラマラスなフェンダー、くびれたウエストみたいな腰まわり、丸みのあるシルエット。それがひとつの映像となって瞼に焼き付いているんだ。
櫻井: カッコイイとは思うけど、スーパーカーかというとどうなんだろ。
嶋田: ブーム全盛の時に出会ったクルマだから、俺にとってはスーパーカーなんだな。今と違って実際にクルマに触れたりすることが出来なかった頃、むさぼるようにして読んだ文献の中に、エンツォ・フェラーリの息子のアルフレッドの話なんかが書かれているわけだよ。仕事柄、今は知識よりも経験の方が上回るようになったけれども、頭デッカチだったころの憧れが今でも続いている。スーパーカーブーム全盛の頃から、一番好きなフェラーリはディーノだったからね。
櫻井:
今はどんどん高くなっちゃってるね。
嶋田: でも欲しい。死ぬまでに一度は所有したいなぁって思う。できれば、白とかシルバー、紺みたいな地味な色がいいね。というのも、初めて見たディーノはシルバーだったんだ。ボディのうねりを再現するのは苦手なボディカラーだと思うんだけど、それでも美しい姿勢を隠すことは出来なかった。まだチェリー君だった中学生の俺が、セクシーだなと感じるくらいだぜ。艶めかしかったね。いけないものを見てしまったような背徳感にどきどきした。あんな気持ちになれるなら、手元に置いて眺めていたい。
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櫻井健一(さくらいけんいち)/写真右
スーパーカーといえばこの人、「ROSSO」の櫻井建一氏。数々のスーパーカーを試乗し、その秘密を探るためなら、世界中のどの地にも出かけていく。ランボルギーニ・ジャルパを所有する正真正銘のスーパーカー・オーナーである。
嶋田智之(しまだともゆき)/写真左
「Tipo」の名物編集長、編集部Tこと嶋田智之氏。過去のレース経験に裏付けられたドライビングテクニックと“人の気持ち”の解った叙情的なレポートは説得力満点。クルマへの愛情あふれる誌面作りにはファン多し。

ディーノ206GT
ディーノ・シリーズ初のロードカーとして1967年に登場したのが、2リッターのV6エンジンを横置きにし、ミドに搭載したディーノ206GTだ。外観は後継モデルの246GTとほぼ同じだが、246GTと較べひとまわり小さく、左リア・クオーター・ピラーの露出したフューエル・フィラー・キャップが瞬時に識別するポイントとなる。

ディーノ246GT
206GTの後継モデルとして、1969年にデビュー。排気量は2.4リッターまで拡大され、1974年まで製造された。206GTよりひとまわり大きくなったボディは、アルミからスティールへ、エンジン・ブロックは鋳鉄製へ変更されているが、スカリエッティにおける製作工法は従来通り手作業であった。
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